コロナ禍で私たちの日常は大きく変わってしまった。
誰かと握手することも相手の顔をみて話すことも今はない。
人の温もりを忘れてしまった私たちは、今コトバの温もりすらも失おうとしている。
言霊(ことだま)というチカラ コロナ禍でそのチカラは良い方にも悪い方にも
言霊(ことだま)とは、古来より日本で言葉に宿るとされるチカラのことをさす。
森羅万象をもつかさどるとするそのチカラは、使う人に、この国に、幸せをもたらしてきたという。
良い言葉を使う人には幸福をもたらし、悪い言葉を使う人には災いが降りかかるとされている。
現代に生きる私たちにも、そのチカラは脈々と受け継がれている。
良い言葉は、コロナ禍でひっぱくする医療現場を支えたくさんの人を励ました。
その一方で悪い言葉は、研ぎ澄まされた鋭利な刃物の様に多くの人を傷つけた。
一人の女性を死まで追い込むそのチカラも、まぎれもない、だれかが放った言霊のチカラだ。
SNSで言葉に宿る言霊のチカラは何十倍にも何千倍にもなる
良くも悪くも言霊のチカラは現代技術のSNSと相性がいい。
SNSで一人があげた声は、何十人何百人何千人と広がり巨大な権力にも負けない大波を起こす。
一人一人の何気ない一言が大量発生したイナゴの様にその人から全てを奪っていく。
アフターコロナという時代に訪れるニューノーマルと呼ばれる新しい秩序の中で
私たちはもう一度、言霊という言葉に宿るチカラの使い方を見つめ直さなければいけない。
ソーシャルディスタンスであなたの言葉は正しく伝わっているだろうか?
ソーシャルディスタンスでいわれる2メートルという距離は、思っている以上に遠い。
相手と話をする私の間にはさらにマスクもある、アクリル板があるかもしれない。
テレビ会議やメールも増えた。
新型コロナウイルスが流行する前、私たちはいかに言葉以外の情報に支えられてきたか思い知らされる。
散らかった机に置かれた冷めた飲みかけのブラックコーヒーで、その人の仕事の煮詰まり具合を察し
明後日の方向を向いた新人君に自分のやり方を見せて仕事のやり方を教えてきた。
しかし、これからは飲みかけコーヒーがあるのかも新人君がどちらを向いているのかもわかりづらい。
だから言葉の話す順番を考えなければいけない。
仕事が煮詰まっているかもしれない相手には、まづはお伺いを立てて今の状況を聞いて見なければならないし
方向が定まらない相手には、こちらに向いてもらわなければ何も伝わない。
言葉も選ばなければいけない。
文章にするとキツイ印象になってしまう言葉もあるし相手に誤解をあたえてしまうかもしれない。
私たちは、絶えず「正確に伝わっているのか?」という問いの前に立たされることとなった。
言葉に温もりを持たせるということを
日本語というのは、とことん良くできているなと日本人ながら自画自賛してしまう。
悪い=冷たいと表現する事が多い。
冷たい男、冷たい言葉、冷たい社会、世紀末のようなデストピアが思い浮かんでくる。
良い=温かいと表現する事が多い。
暖かな男、温かい言葉、暖かな社会、南国の何不住のない豊かな村が思い浮ぶ。
大切なのはこの「温かい言葉」を意識して使う事にある。
では、温かい言葉とは、どんな言葉なのだろう?
大切な事は、相手の心の温度に合わせる事かもしれない。
話を聞くということ 相手の言葉に耳を傾けることからはじめよう
相手の心の温度に合われるには、まずは相手の話をしっかりと聞く以外ない。
「話し上手は、聞き上手」
といわれているが、まったくそのとうりだ。
心の温度=つまり相手が今、何に悩んでいて何を考えているのかを知らなければ合わせられない。
相手の言葉に耳を傾けることから始めてみよう。
相手は自分を映す鏡だ
相手は自分を映す鏡だと言われいる。
こんな文章を書いてはいても私の鏡は、怒っているし、傲慢で、笑っているときの方が少ない。
毎日、笑って生きていきたい。そう思ってもそれは土台無理な話しだ。
たまの笑顔を愛しむ。それぐらいだ。
ただ、人を追い詰めるようなことはやめよう。
追い詰められているのは、鏡に映る自分自身だからだ。
今、あたなを写す鏡は笑っているだろうか?