2020年3月30日、志村けんさんが、新型コロナウイルス感染で亡くなりました。
ご遺体は火葬され「お骨」になりご家族の元に戻るかたちとなりました。
「新型コロナウイルスの感染を防ぐため、棺の顔を最後に見ることも叶わなかった」と志村さんのお兄様がコメントしています。
新型コロナウイルスが集団感染を引き起こす中、「弔いの形」について考えます。
新型コロナウイルスは、ご遺体からも感染するのか?
厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染し亡くなった方のご遺体を搬送したり火葬する場合の注意事項をまとめています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html#Q2-2
新型コロナウイルスはご遺体からも感染するリスクがあるとしています。
ご遺体は、ウイルスが付着している可能性があるため、体液や血液を通さない「非透過性」の袋に納めることが望ましいとし、袋に収めればそれ以上の感染防止策は不要で遺族などがご遺体を搬送しても差し支えないとしています。
火葬前にご遺族が遺体に触れたいと希望する場合、手袋を使い触れることも可能としています。
厚生労働省は「感染を防ぐための対策をきちんと講じることができる場合は通常の葬儀を行うことに問題はなく、遺族の意向を尊重してほしい」としているのです。
しかし実際、志村けんさんの場合は火葬されるまで触れることも顔をみることも叶いませんでした。
これは、新型コロナウイルスに感染したご遺体の扱いは非常に難しいという現実からきています。
もし、袋が破れてしまった場合、小さな穴が空いていた場合、手袋を外す時にうまく手順どうりできなくウイルスが手に付着してしまった場合、など考えうる感染リスクはきりがありません。
日本でも感染予防のプロフェッショナルでもある医療関係者が感染している状況の中、ウイルスに感染したご遺体の扱いは、非常にリスクが高いのが現実のようです。
新型コロナウイルスに感染して亡くなった場合の葬儀・葬祭は?
上記でも説明したようにどうしてもモノモノしい雰囲気になってしまいます。
新型コロナウイルスは、感染症法の指定感染症に指定されています。
厚生労働省によると「遺族等の意向にも配意しつつ、極力そのままの状態で火葬するよう努めてください。」とされております。
その為、ご遺体は病院から直接火葬場へ向かい火葬されます。
棺もウイルスが外に出ないように棺の蓋をビニールテープで目張りする形となります。
棺を開けることができないため、最後の姿を見ることもできないのです。
消毒も入念に行わなければなりません。
火葬場では、マスク・ゴーグル・防護服と一般の火葬の雰囲気とはかけ離れています。
名古屋では、感染者のご遺体は、第二斎場となっており時間も一般と分けているようです。
新型コロナウイルスが集団感染を起こす今、葬儀・葬祭はどう行うべきか?
葬儀・葬祭を行う業者は室内の換気をすることや、アルコール消毒の実施、お焼香を室外に移すなど対策をしています。
コロナウイルス感染は「3密」(密閉・密集・密接)が成立する場所でクラスター(集団感染)が発生しやすいとされているからです。
しかし、人の集まり(密集)はその数だけで新型コロナウイルスの感染リスクを高めます。
参列者の方々の健康を考えるとできる限り「小規模」に行うことが求められています。
親族だけの限られた人数で行う家族葬や、
火葬後に日をおいて葬儀を行うプラン、後日お別れの会を行うプランなど各社が検討しています。
新型コロナウイルスは、志村けんさんの病状進行をみてもわかるように非常に短い期間で重症化し親族や親しい人たちに心の整理をつける時間すらあたえてくれません。
コロナウイルスが終息を迎えた後、愛する人たちと故人をしのぶためにも
今は、限られた人数で葬儀・葬祭を行うことが求められていると思います。